発達障害って、なに?

 

 

 

―発達障害とは?―

 

よく聞く呼び名は「自閉症スペクトラム」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」

 →意味、内容としてはほぼ同じです。

  知能指数が低く、知的障害をともなう場合もありますが、幼稚園に入ってくる子どものほとんどは、知能が低いわけではないけれど出来ることと出来ないことが混在している子どもが多いようです。最近は「発達凸凹」という呼び方がされるようになっており、この呼び方がわかりやすいのではないでしょうか。

   その他、言葉のとおり注意力あるいは多動性に問題があるADHDと学習に困難さがあるLDとがあります。純粋にそれだけの子どもと、自閉症スペクトラムの特性を併せ持った子どもがいます。図の中で輪が重なっている部分が両方あるいは隣りあわせの特性を併せ持った子どもの領域です。

 

 

 

 

    ←「親子で向きあう発達障害」

       幻冬舎 植田日奈・著より

 

                          

―どんな子が発達障害なの?―

 

★ちょろちょろして動き回っている (何度呼んでも戻ってくれない)  

★「こちらを見て」などの指示に従えない

★音や物が動くなどの刺激にすぐ反応して気がそれる

気がついた時には先に手がでている/先に行動している

かんしゃくを起こしやすく(キレやすく)切り替えられない

◆かたづけができない/もとにあった場所などを覚えられない

◆ものを言いつけて「はい」と返事をするのに違うことをしている

◇目の前にあるものを見つけられない

◇お手本と同じものを作れない/真似ができない

◇逆手バイバイしたり、ものを反転させて反復する

●自分からはしゃべるが質問には答えられない/やりとりにならない

●数字、ひらがな、図形の形、虫の名前など特定の言葉しか覚えない

▲水、砂、どろどろやべたべたなど、どうしても触れないもの/嫌いなものがある

▲極端な偏食がある

▲いろいろなことに順番が決まっていてその通りでないと次に進めない

▲大きな音を嫌がり行動が中断されてしまう

▲よく転ぶ/偏った歩き方や走り方をする/手先を上手に使えない

 

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★…「注意」に問題がある   ❤…「衝動性」がある

◆…「記憶力(ワーキングメモリ)」に問題がある  ◇…「視覚(認知)」に問題がある

●…「聴覚(言語力)」に問題がある  ▲…「感覚」に問題がある

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これらのどれかがあてはまり、その問題によって生活に支障があれば、その子には発達障害があると考えてよいでしょう。

 

 

―ここまでのまとめ―

発達障害には[動きが激しい(多動)タイプ]

[動きは目立たないが注意が向かなくて(あるいは理解ができなくて)みんなと同じことができないタイプ]がいます。

 

さらに、多動型・注意欠陥型を問わず、

[視覚認知が得意なタイプ(視覚優位)]

[聴覚が得意で言葉をよく知っているタイプ(聴覚優位)]

[こだわりが強くマイルールを外せないタイプ(感覚統合がよくない)]がいます。

 

そして、多動・注意欠陥・視覚優位・聴覚優位・感覚統合がよくない、

このすべてのタイプの中に、さらに

[コミュニケーションができて人と共感できるタイプ]

[コミュニケーションができず人と共感しづらいタイプ]がいます。

 

これらの組み合わせは何百通りもあり(何千通り?)、

発達障害の子どもが100人並んだら、100通りの発達障害の形があるのです。

 

すべての発達障害児に共通していることは、すごく出来ないことがあってもすごく出来ることがあったりして、周りの大人が「ほんとうは出来る子だ」「あとすこしすれば出来るようになるだろう」「この子はなまけている(ふざけている)だけだ」と誤解を招いてしまうところがあることです。

怖いのは特性そのものではなく二次障害

 上記のような「特性」が周囲に理解してもらえなかったり、特性のためにできないことを無理強いしたりすると、子どもは暴力を振るったりパニックを起こしたりして回避行動を取るようになります。これが二次障害と呼ばれるもので、こちらの症状の方が皆さんが日頃困っていることだといえます。その他、激しいショックや悲しい出来事が強く記憶に刷り込まれて、それが何年たってもたびたびフラッシュバックして生活が滞ってしまうこともあります。このフラッシュバックが成人になって一番困る二次障害ではないでしょうか。

 発達障害そのものは怖いものではありません。生活を滞らせるのはほとんどが二次障害によるものです。発達障害で気を遣っていただきたいのは二次障害の予防と防止です。